イオン化傾向金属のイオンへのなりやすさの順番
金属には、水溶液中で電子を放出して陽イオンになろうとする性質がある。この性質の強さの順番をイオン化傾向(またはイオン化列)といい、高校化学では欠かせない知識の一つである。
① イオン化傾向の並び順
イオン化傾向が大きい(陽イオンになりやすい)順に17種類を並べると、次のようになる。水素(H)は金属ではないが、反応性を比べる基準としてこの並びに加えられている。
| 記号 | 元素名 | 特徴・反応性 |
|---|---|---|
| Li | リチウム | アルカリ金属。常温の水と激しく反応する |
| K | カリウム | アルカリ金属。常温の水と激しく反応し、発火することもある |
| Ca | カルシウム | 常温の水と反応し、水素を発生する |
| Na | ナトリウム | アルカリ金属。常温の水と激しく反応する |
| Mg | マグネシウム | 熱水や酸と反応し、水素を発生する |
| Al | アルミニウム | 酸や熱水と反応する。空気中では表面にできる酸化被膜が内部を保護する |
| Zn | 亜鉛 | 酸と反応し、水素を発生する |
| Fe | 鉄 | 酸と反応し、水素を発生する。湿った空気中でさびる |
| Ni | ニッケル | 酸とゆっくり反応する |
| Sn | スズ | 酸とゆっくり反応する |
| Pb | 鉛 | 酸とごくわずかに反応する |
| (H) | 水素 | 金属ではないが、反応性を比べる基準としてこの並びに含まれる |
| Cu | 銅 | 常温の塩酸・希硫酸とは反応しない(熱濃硫酸・硝酸など酸化力の強い酸とは反応する) |
| Hg | 水銀 | 常温で唯一の液体金属。空気中では安定 |
| Ag | 銀 | 空気中で非常に安定。酸化力の強い酸以外とは反応しない |
| Pt | 白金(プラチナ) | 極めて安定で、ほとんどの薬品と反応しない |
| Au | 金 | 最も安定。王水(塩酸と硝酸の混合液)以外にはほとんど溶けない |
② 反応性のグループ分け
並び順を丸暗記するだけでなく、反応性の強さでいくつかのグループに分けて理解しておくと役に立つ。
Li〜Na(Li,K,Ca,Na)
… 常温の水と反応する
Mg〜Al(Mg,Al)
… 熱水や酸と反応する
Zn〜Pb(Zn,Fe,Ni,Sn,Pb)
… 酸と反応する(水素より反応性が高い)
Cu〜Au(Cu,Hg,Ag,Pt,Au)
… 酸とほとんど反応しない「貴金属」
… 常温の水と反応する
Mg〜Al(Mg,Al)
… 熱水や酸と反応する
Zn〜Pb(Zn,Fe,Ni,Sn,Pb)
… 酸と反応する(水素より反応性が高い)
Cu〜Au(Cu,Hg,Ag,Pt,Au)
… 酸とほとんど反応しない「貴金属」
イオン化傾向が大きい金属ほど反応性が高く、さびやすかったり燃えやすかったりする。逆にCuより後ろの金属は反応性が低いため、宝飾品や電子部品など、さびにくさが求められる用途に使われることが多い。
③ イオン化傾向を利用した反応
イオン化傾向が大きい金属は、小さい金属のイオンから電子をうばって、その金属を析出させる(追い出す)ことができる。この性質は金属同士の反応(金属の置換反応)を予測するのに使われる。
硝酸銀 AgNO₃ 水溶液に銅 Cu を入れると…
→ Cu のほうがイオン化傾向が大きいため、Cu が Cu²⁺ になって溶け、Ag が金属として析出する
→ Cu のほうがイオン化傾向が大きいため、Cu が Cu²⁺ になって溶け、Ag が金属として析出する
④ 語呂合わせで覚えよう
17種類をそのまま暗記するのは大変なので、多くの教科書や参考書では、それぞれの元素名の頭の音をつなげた語呂合わせが紹介されているよ。
ここでは代表的なものを紹介するね ^^
リッチに貸そうかな、まああてにすんな、ひどすぎる借金
- リッチに:Li(リチウム)
- 貸そう:K(カリウム)
- か:Ca(カルシウム)
- な:Na(ナトリウム)
- ま:Mg(マグネシウム)
- あ:Al(アルミニウム)
- あ:Zn(亜鉛)
- て:Fe(鉄)
- に:Ni(ニッケル)
- すん:Sn(スズ)
- な:Pb(鉛)
- ひ:H(水素)
- ど:Cu(銅)
- す:Hg(水銀)
- ぎる:Ag(銀)
- 借:Pt(白金)
- 金:Au(金)

