古文単語高校古文の重要古語(古今で意味が違う語)
古文単語(こぶんたんご)とは、古文を読むために覚えておきたい古語(こご)のことです。古文の語の多くは、形がにていても現代語とは意味が違うことがあります。意味を正しく知っておくと、古文の文章がぐっと読みやすくなります。
古文単語が「現代と意味が違う」とは
例えば次のような語は、現代語の感覚で読むと意味を取り違えてしまいます。古語の意味を覚えるときは、現代語との違いを意識するのが大切です。
うつくし = かわいい・いとしい
現代語の「美しい(きれい)」ではなく、小さいものや幼いものをかわいい・いとしいと思う気持ちを表します。
あやし = 不思議だ
「あやしい(疑わしい)」ではなく、不思議だ・神秘的だという意味で使われることが多い語です。
ありがたし = めったにない・珍しい
「有り難し」=存在しがたい。現代語の「感謝する」ではなく、めったにないほど珍しいという意味です。
おどろく = 目が覚める・はっと気づく
現代語の「びっくりする」ではなく、眠りから目が覚める、ふと気づくという意味で使われます。
「あはれ」と「をかし」
古文の美意識を代表する二つの語です。あはれは、しみじみと心が動かされるしんみりとした感動を表し、『源氏物語』に多く見られます。をかしは、明るく知的に「おもしろい・興味深い」と感じる気持ちで、『枕草子』に多く見られます。どちらも「趣(おもむき)」に関わりますが、感情の質が違います。
重要古語の意味一覧
高校古文でよく出る重要古語と、その代表的な現代語訳を、意味の仲間ごとにまとめました(全70語)。同じ語でも文脈によって訳がかわることがあるので、例文の中で確かめながら覚えましょう。
情趣・感情をあらわす語
| 古語 | 現代語の意味 | ポイント |
|---|---|---|
| うつくし | かわいい・いとしい | 小さいものへの愛情。現代の「美しい」とは異なる |
| かなし | いとしい・かわいい | 「愛し」。深く心ひかれるさま |
| らうたし | かわいらしい・いじらしい | 弱いものをいたわりたくなる気持ち |
| あはれ | しみじみと心が動かされる | しんみりとした感動。『源氏物語』の美意識 |
| をかし | おもしろい・興味深い | 明るく知的な美。『枕草子』の美意識。「あはれ」と対比される |
| いとほし | 気の毒だ・かわいそう | 相手に同情する気持ち |
| うし | つらい・いやだ | 「憂し」。気が重くいやなさま |
| なつかし | 心がひかれる・慕わしい | そばにいたいと思うさま。現代の「なつかしい」とは異なる |
| さうざうし | 物足りない | あるべきものがなく心さびしいさま |
| くちをし | 残念だ・くやしい | 「口惜し」。期待どおりでなく心残りなさま |
| すさまじ | 興ざめだ | 場に合わずしらけるさま。現代の「すさまじい」とは異なる |
| つれづれなり | 手持ちぶさただ・退屈だ | 『徒然草』の書き出し「つれづれなるままに」 |
| あさまし | 驚きあきれる | 意外なできごとにあきれるさま |
| むつかし | うっとうしい・不快だ | 現代の「難しい」とは異なる |
| こころもとなし | 待ち遠しい・じれったい | 早く〜したいと気がせくさま |
| ゆかし | 見たい・知りたい | 心がひかれて、見たい・聞きたい・知りたい |
| わびし | もの寂しい・みすぼらしい | 心細くわびしいさま。みすぼらしいさま |
評価・ようすをあらわす語
| 古語 | 現代語の意味 | ポイント |
|---|---|---|
| めでたし | すばらしい・立派だ | ほめたたえたくなるほど立派なさま |
| わろし | よくない・感心しない | 「あし(悪い)」より軽い、よくない評価 |
| いみじ | 程度がはなはだしい | よくも悪くも程度がはげしい。文脈で善悪が決まる |
| あやし | 不思議だ | 「怪し」。「賤し(身分が低い・粗末だ)」の意もある |
| ありがたし | めったにない・珍しい | 「有り難し」=存在しがたい。現代の「感謝」とは異なる |
| かしこし | おそれ多い・もったいない | 「畏し」。神仏や身分の高い人に対する気持ち |
| はづかし | こちらが気おくれするほど立派だ | 相手が立派で、こちらが恥ずかしくなるさま |
| まめなり | まじめだ・実用的だ | 誠実なさま、実用的なさま。対は「あだなり」 |
| ねんごろなり | 親切だ・丁寧だ | 心がこもって念入りなさま |
| うるはし | きちんと整っていて立派だ | 整った美しさ。「なまめかし」はしなやかな美しさ |
| つきづきし | 似つかわしい・ふさわしい | その場によく調和しているさま |
| はかなし | 頼りない・あっけない | しっかりせず、もろく消えやすいさま |
| いたづらなり | むだだ・かいがない | 役に立たず、むなしいさま |
| あからさまなり | ほんのちょっとだ・かりそめだ | ほんの少しの間。現代の「あからさま」とは異なる |
| おぼつかなし | はっきりしない・ぼんやりしている | ぼんやりして見分けにくいさま |
| かたはらいたし | きまりが悪い・みっともない | そばで見ていて気がひけるさま |
| ゆゆし | 不吉だ・忌まわしい | ふれてはならないほど神聖で、不吉なさま |
| ひがひがし | ひねくれている・風流でない | 素直でなく、情趣を解さないさま |
| をこなり | ばかげている | 「痴なり」。おろかで滑稽なさま |
| よしなし | つまらない・とりとめがない | 「由無し」。意味がない、関係がない |
| みそかなり | こっそりだ・ひそかだ | 人に知られないようにするさま |
| いはけなし | 幼い・あどけない | 子どもらしくてあどけないさま |
動作をあらわす語
| 古語 | 現代語の意味 | ポイント |
|---|---|---|
| ありく | 歩き回る | あちこち動き回る。乗り物で移動するときにも使う |
| おどろく | 目が覚める・はっと気づく | 現代の「驚く」とは異なる |
| まもる | じっと見つめる | 「目守る」。目をはなさず見つめる |
| にほふ | 色つやが美しく映える | もとは視覚の美しさ。においにも使う |
| ののしる | 大声で騒ぐ | 評判になる意もある。現代の「ののしる」とは異なる |
| めづ | ほめる・かわいがる | 「めでたし」はこの語から生まれた |
| おぼゆ | 自然と思われる・思い出される | 「似る」の意もある |
| わたる | ずっと〜し続ける | 補助動詞。一面に〜するの意もある |
| ゐる | 座る・じっとしている | 「居る」。立つの反対。「率る(引き連れる)」と区別する |
| あそぶ | 詩歌や管弦を楽しむ | 風流な遊びをすること |
古文の敬語
| 古語 | 現代語の意味 | ポイント |
|---|---|---|
| たまふ | お与えになる・〜なさる | 尊敬語。「給ふ」。補助動詞では「〜なさる」 |
| きこゆ | 申し上げる | 謙譲語。「聞こゆ」。「うわさされる」の意もある |
| まゐる | 参上する・差し上げる | 謙譲語。「参る」。貴人のもとへ行く |
| はべり | お仕えする・あります | 謙譲語・丁寧語。「侍り」 |
副詞・呼応の表現
| 古語 | 現代語の意味 | ポイント |
|---|---|---|
| いと | たいそう・非常に | 程度がはなはだしいことを表す副詞 |
| やうやう | だんだん・しだいに | 『枕草子』「やうやう白くなりゆく山ぎは」 |
| つとめて | 早朝・翌朝 | 早朝、または何かがあった翌朝 |
| げに | なるほど・ほんとうに | 相手に同意・納得するさま |
| さらなり | 言うまでもない | 「いふもさらなり」の形でよく使う |
| いかで | どうにかして・なんとかして | 強い願望を表す。「どうして」と疑問にもなる |
| やがて | すぐに・そのまま | 現代の「やがて(そのうち)」とは異なる |
| なかなか | かえって・むしろ | 現代の「なかなか(かなり)」とは異なる |
| なほ | やはり・依然として | 「それでもやはり」の気持ち |
| さすがに | そうはいってもやはり | 前の内容を認めつつ打ち消す |
| けしき | 様子・機嫌 | 「気色」。人の表情や心のようす |
| ことわり | 道理・もっともなこと | 「理」。すじが通っていること |
| ためし | 前例・先例 | 「例」。以前にあった同じような例 |
| な〜そ | 〜するな(禁止) | 「な+動詞+そ」でやわらかい禁止を表す |
| え〜ず | 〜できない(不可能) | 「え」+打消で不可能を表す |
| つゆ〜ず | 少しも〜ない(全部打消) | 「つゆ」+打消で全否定を表す |
| よも〜じ | まさか〜ないだろう | 「よも」+打消推量で強い否定の推量を表す |
※ 「いみじ」のように、程度がはなはだしいことを表し、よい意味にも悪い意味にもなる語があります。前後のことば(文脈)から、よい・悪いを読み取りましょう。「な〜そ」は「な+動詞+そ」の形で、やわらかい禁止(〜するな)を表します。
古文単語の覚え方・注意点
- 現代語との違いを意識する:「うつくし」「あやし」「ありがたし」のように、現代語とずれる語からおさえると効率的です。
- 文脈とセットで覚える:一つの古語が複数の意味をもつことがあります。例文の中で「どの意味か」を確かめながら覚えると定着します。
- 対になる語をまとめる:「あはれ」と「をかし」のように、似ているが質の違う語をペアで整理すると、違いがはっきりします。
古文単語は、少しずつ繰り返すことで確実に身についていきます。代表的な重要古語から、意味を文脈とともに覚えていきましょう。

